JASRAC、必死だな。
というだけなのもアレなので、ちょっとだけ調べてみた。私的録音録画補償金制度についての現状は日経BP知財Awarenessの記事が詳しい。政府が来年予定している著作権法改正の担当者へのインタビュー記事だ。
元々、著作権法では著作物を個人的または家庭内など限られた範囲内で使うことを目的にした複製(=私的複製)を認めている。しかし、媒体がデジタル化されたことにより複製しても劣化が起きないことから、上記範囲を超えた利用が見られるようになり、それへの補償制度として導入されたのが「私的録音録画補償金制度」らしい。
ちなみに、JASRACのページによると、補償金対象となっているのはDAT・DCC(デジタルカセット…懐かしい)・MD・オーディオ用CD-R・オーディオ用CD-RWの機器及び媒体。
さて、インタビュー記事に戻ると、色々な問題があることをお上は認識しているようだ。
第一に、私的録画録音補償金制度の存在意義そのものへの疑問。『現行の補償金制度は、デジタル・コンテンツに対する技術的保護手段という考え方がない時点での私的複製に対する仕組みで、かつ私的複製と技術的保護手段の関係は著作権法上で規定がなく、関連する判例もない』。現在ではCCCDなどの技術的保護制度が存在するのだから、補償金制度についても見直すべきだった、ということ。
第二に、補償金の配分面など含めた制度自体の制度疲労。『徴収された補償金全体の20%が指定管理団体(文化庁管轄の社団法人私的録音補償金管理協会の1団体のみ)によって“共通目的事業”として差し引かれているが、目的事業から判断して、補償金でなく(国の)一般の予算措置への振替も可能』『新規参入した著作権管理事業者への補償金配分が、既存の管理事業者を経由している事例もある』。つまり、指定管理団体から著作権者への補償金配分方法の有効性に疑わしい部分がある、ということ。
第三に、現制度で対象外となっている機器類の取扱い。iPodに代表されるHDD内蔵型プレーヤや汎用CD-Rなどを対象とするか否か。ここにはSDカードなどの外部記憶媒体は含まれていないようだが、議論するなら対象としたらどうか。あ、SDカードやマジックゲート・メモリースティックは保護機構内蔵だから対象外ね。
さて、これらの問題に対しての自分の所感は以下の通り。
まず、少なくともCDについてはCCCD導入→廃止という事実があり、著作権者(というか権利団体)は保護技術が存在する中で採用していない、つまり販売されるCDについて補償金を徴収する権利は無いのではないかと思う。無論、著作権を軽視していいという意味ではなく、正当な手段でCDを入手してるんだから私的利用の範囲でCDにコピーしたりiPodに転送したり自由にさせてくれ、という当然の要求なわけで。
次に、補償金配分を受託している指定管理団体の公正性に疑問がある。この社団法人の代表理事はJASRACの理事長で、常任理事はJASRAC・日本レコード協会・芸団協の3団体から派遣されてる。そして、補償金配分を受ける会員もこの3団体のみ。この団体に属しない場合は基本的に補償金配分は受けられないわけで、だから前述の通り会員団体経由で配分等という裏口的方法が生まれるのでは。20%を“共通目的事業”に使うことなどを含め、これが法律に守られた制度だと考えると、ものすごい利益誘導な仕組みに思える。ちなみに、今のJASRAC理事長は元文化庁長官。ほほう、天下りですかぁ。
これを検討しているのは『文化庁の文化審議会・著作権分科会・法制問題小委員会』ということで、すでにダメダメ感が漂っているが、インタビューに答えた経済産業省の人はまともそうなので、期待したいところです。