2018/6/14「あしたのコミュニティーラボ/大きな学びをもたらす「挑戦」をエンパワーする方法とは?」に参加してきた #ashita_lab

投稿者: | 2018年6月19日

あしたのコミュニティーラボが主催のイベント「大きな学びをもたらす「挑戦」をエンパワーする方法とは?」に参加してきたので、レポートとか感想とか。

テーマが「新しいことに挑戦する人をサポートする方法や挑戦しやすい環境のつくり方について考えていく」ということで、この6月に社内で技術者コミュニティを会社公認で立ち上げたばかりの自分にピッタリすぎる!と参加を決めました。前半は登壇者4名によるテーマトーク、後半はテーマに即したワークショップという構成。

テーマトーク

田中聡さん(twitter:@satoshi_0630)
立教大学経営学部 助教で、経営学習論(働く大人と組織の学習と成長が研究領域)をテーマに、挑戦=「新規事業」と仮定してのお話でした。
・新規事業やイノベーションは、イノベータから優れたアイデアがポンと出るみたいなイメージがあるが、実際はそんなことはなく、組織的プロセスの中から生まれるもの。社内外との利害や資本関係、既存事業からの延長、経済効果を生み出す活動の結果として「新規事業をつくる」ことは「人と組織をつくる」ことに他ならない。
・事業を作る過程で経験する学習プロセスは「他責思考期(失敗の原因を自分以外に求める)」「現実受容期(振り返り)」「反省的思考期(自分を責める)」「視座変容期(ひとつ上の見方ができるようになる)」の4段階を経る。視座が変わって初めて成長といえるが、時間もかかる。
・新規事業に取り組む人は、当初は既存事業と比較して少ないリソースや低い売上・利益に甘んじる必要があり、社内でも孤独になりやすい。これは痛みを伴う経験となる。
・新規事業を成功させるのは、優秀な人ということではなく、成長に意欲的な人が多い。
(所感)
ここでいう新規事業とは「イノベーションのジレンマ」における「持続的イノベーション」ですかね。それでも、成長に意欲的でなければ、痛みを伴う経験も乗り越えられない、ということはよく分かります。

吉田めぐみさん
株式会社ツクルバが運営するコワーキングスペース「co-ba shibuya」のコミュニティーマネージャー。
・コミュニティーマネージャーとは、吉田さん曰く「ハンバーグのパン粉」。コワーキングスペースに訪れる人から方向性の合う人を「集め」、イベントなどを通じて「つなぎ」、その魅力を外部に「伝える」ことが役目。
・学びは大きく「Input」と「Output」の2つに分けられる。Inputするだけでなく、Outputすることにより、人は物事をより深く理解(学習)できる。
・一方、InputはできてもOutputができない人が多い。Outputすることに挑戦する人をサポートすることが大切で、サポートすること自体もまた学びになる。
・いざ挑戦しようと思ったとき、アクションしやすい場所であることが、コワーキングスペース/コミュニティにとって大切である。
・自分の横の人がやっていることに興味があっても、なかなか声をかけづらいこともある。なので、雑談しやすい環境づくり(月次の交流会を催したり、会員が自分の手持ちの本を置ける書棚を設けたり)と雰囲気づくりを心掛けている。
・コミュニティーマネージャーとして、様々な手段やタイミングで情報発信したり、アプローチし続けることが大切と考えている。
(所感)
今日聞きたかったことのほぼ全てがここに詰まっていた。自分が考えたスキームが概ね間違ってなさそうなこと、今の取り組みに足りないことなど多くの「学び」を感じた。一度見学にいらして下さいとおっしゃって頂いたので、ぜひ行こうと考えてます。

八重樫理人さん
香川大学創造工学部創造工学科情報システム・セキュリティコース 准教授、地域・産学官連携戦略室 室員のご経験からのお話。
・大学は学生が学ぶだけの場所ではない。産官学連携により大人も学ぶ機会を得られる。
・ここからは事例紹介。
・「KadaPos/カダポス」:大学で大量消費されるコピー紙の裏面を広告スペースとすることでコピー費用の負担を軽減しつつ、地元商店への導線としても活用した。
・「KadaPam/カダパン」:観光地で配られるガイドブックに着目。ガイドブックの観光地の写真が自分で撮影した写真に入れ替わり、自分だけのガイドブックが作られるシステム。これも地元観光地の魅力を高める仕組み。
(所感)
社会人が大学院に入学するには、会社側の制度面とか経済面とか、結構ハードルが高いと思う。自分が院生のときにいらした社会人院生の方は開発部の部長さんで、仕事と並行して研究されてたし。でも、一度社会人経験をしてからの研究って絶対に良い意味で違うものができるのではと思う。

堀田はるなさん
日本モンテッソーリ協会承認のモンテッソーリ教師。モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。モンテッソーリ教育の特徴の紹介を通じて、大人の学びにも共通するお話がいろいろありました。
※堀田さんご自身によるまとめがありましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
・モンテッソーリの子供の家では、やりたいことは子供自身が決め、できることは全て子供がやるスタイル。大人は手助けに留めるのがルール。なので、やらされ感がないし、真剣そのもの。
・子供の目が輝くような環境づくりをしている。例えば、一人一人が興味を持てること、興味を持った時のワクワク感に寄りそう、少し難しいくらいのレベルにチャレンジできる、失敗を回避させず試行錯誤を習慣化させる、子供同士で教えあうように仕向ける、など。
・「褒める」でなく「共感する」ことを心掛けている。
・以上のことを「職場」と「大人」に置き換えてみれば、同じようにできるはず。
(所感)
自律的に行動を起こし、失敗を恐れず何度でも挑戦し、そして周囲に教える・広めるという要素すべてが、そのまま人生の中で「学び」を続けられることに繋がっているのに気づきました。こういった素養を得ているかどうかで、大人になってからの「生きやすさ」「生きづらさ」が変わってくるかもしれないです。

ワークショップ
イベント後半は、参加者から議論したいテーマを募り、それを参加者同士で議論するスタイルのワークショップでした。自分は、立ち上げたコミュニティを今後全社へ広げていくために「学びに積極的でない人をどうやったら巻き込めるか?」といったテーマを挙げ、皆さんのお話をお聞きすることができました。

まず、富士通ビー・エス・シーの大渓さんがいらしたので、大渓さんが所属する「共創推進部」の取り組みを紹介して頂きました。
・全社員から「やりたいこと」を挙げさせたら、共創推進部が中心となり「なぜ」の部分を突き詰め、テーマ化する。
・テーマに対して社内公募を行い、そのメンバには「10%ルール」(就業時間の1割をその活動に充てる)を適用する。
・アウトプットとして、ものづくりなどビジネス化や、イベント参加などをしてもらう。活動経過も社内ブログなどを通じて発信し、社内で共有している。
・1年半で10プロジェクト、100名以上が参加している。
とても画期的な活動ですが、「その時間で仕事をすればいい」と周囲から言われることもあるそうで、活動の理念を周知させ、理解してもらうことが重要と感じました。また、手を挙げたはいいものの具体的なやり方がわからない、という人もいるそうで、マニュアルの無い仕事をやれる能力を磨くことにも繋がっているなあと感じました。

議論の中では、とある営業職の方から「エンジニアは忙しくて、仕事をこなすだけで精一杯なのでは」との意見もありました。これは自分もまったく同感で、疲れ果てているときに仕事以外で見返りもなく勉強をするモチベーションを保るのは非常に難しいです。「働き方改革」とか「業務効率化」の先に生まれた余暇の受け皿として、こういった勉強が業務内でできるのは結構いい線かもしれません(自分が立ち上げたコミュニティでは、社外勉強会への参加を業務扱いとして、残業代・旅費などをコミュニティで負担する仕組みを持ってます)。

この他にも、「コミュニティの活性化と維持」とか「モチベーション高い人は潜在的にいるが環境のために発揮できていないのでは」といった話題で盛り上がりまして、自分の活動に対しての示唆をいろいろと得られたと感じています。

まとめ

これだけ得るものが多いイベントは久々でした。まあ、自分の課題とマッチしていたから当然なんですが。大人になっても学ぶことに終わりは無いわけで、だったら楽しく学べるような環境づくりを目指して色々と考えよう、と思いを新たにしたイベントでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください