読後感想「なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか/嶋 浩一郎」

投稿者: | 2018年6月25日

タイトルだけ見ると発想術の本かなーと思いきや、それだけにとどまらない気づきや視点を与えてくれる本です。特に気に入った部分を簡単にご紹介。

人は自分のやりたいことを知らない
人は、自分のやりたいことや欲望について「言語化された範囲」でしか認識していない、言語化されていないことは他の人に言語化されないと気付けないという。そして、いい本屋はそれを言語化し、提示してくれるのだという。
確かに、ネット書店は「言語化」したキーワードでしか本にたどり着けないから、言語化されていないことには永遠に巡り合えないことになる。

棚には文脈がある
本を並べるときに単に「出版社別」とか「新書・文庫」といった分類で並べるのではなく独自の視点で関連性のある本を近くに配置したりすることがあり、それを筆者は「文脈棚」と呼んでいる。文脈をたどることで、普段自分が読まないジャンルの本に、関連性から興味を持ち、世界が広がる体験を得られる。

クリエイティブ・ジャンプ
一見、関連の無い2つの物事も、色々な書籍で得た知識を組み合わせることで繋がることがある。それを筆者は「クリエイティブ・ジャンプ」と呼び、優れた発想の源としている。例として「ミケランジェロから明太子が生まれた」という、複数の事実の組み合わせでこそ分かる事実を提示して見せている。

筆者は、本書で掲げた「いい書店」を実践するべく下北沢にリアル書店を構えています。身構えずにいつでも過ごせる街の本屋として、そして人が交わる「場」として、情報発信する「メディア」として運営し続けていて、その事実こそが本書に書かれたことの正しさを示しているのかな、と思います。

カテゴリー: Book

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