#Alexaスキルアワード 2018 ファイナルステージに参加してきた

投稿者: | 2018年10月2日

2018/9/29に、目黒のアマゾン本社にて「Alexaスキルアワード2018」の最終選考会イベントが開催された。「Alexaスキルアワード」は、スマートスピーカー「Echo」用スキル(拡張アプリ)の開発コンテストで、6月から約2か月間のエントリー期間に、365本のスキルが応募され、その中から24本がファイナリストとして選ばれた。自分もエントリーしたが入賞はできなかった。そのため、どんなスキルが評価されるかを見届けるべく、参加してきた。

会場となったアマゾンの新本社は、この9月末に移転したばかりの、目黒駅前の真新しいビル。自分は8/25の「Alexaスキルアワードサポート付き作業部屋(もくもく会)」で来ており、2度目の訪問となった。アマゾン社内は原則として写真撮影禁止で、今回のイベントでも発表会場内のみ撮影が許可された。

ファイナリスト24本のスキルについて(所感)

各スキルの概要については、Smarthacks Magazineさんの記事ロボスタさんの記事が詳しい。そのため、ここでは個人的な所感を挙げておく。

1.スマートポスト:いかにもIoTならではの実装。ポスト内の映像をスマスピ画面に表示できるのはカッコいい。汎用化するには難しいが、音声でできることの可能性を広げたスキルだと思う。
2.ゴミ丸:単にごみの日を教えてくれるだけでなく、モノの分別と捨て方を教えてくれるのはとても便利で、日常で使いたくなる。これらのデータを自治体(愛知県豊田市)がオープンデータで公開しているとのことで、これは自治体のITへの取り組みが住民サービスとなる良い事例と思った。
3.DRAGON ROLL~お寿司の通訳~:実際に寿司屋の板前さんが使ってみるデモが秀逸。エンジニアでない現場の人が使っているだけで説得力が倍増。対象を寿司屋のネタに絞ったことで精度も上げやすく、ターゲッティングが上手いと感じた。
4.内線放送:音声指示で、PBX網へ内線放送をかけられる。誰でも指示できるので、定型放送や緊急時の放送にはとても向いていると思う。PBXの機種ごとに設定が異なるようなので、どこでもすぐに導入というわけにはいかない。
5.ハノイの塔トレーニング:既存のゲームを音声だけで操作するゲームに置き換えると意外な面白さが出てくるのか、という発見があった。視覚障碍者による開発で、開発には読み上げブラウザなどを使用していた。
6.歯医者さん:業務用システム(ここでは歯科の個人開業医向けシステム)を拡張し、エンドユーザへの便宜性を高めるというのは、VUIの業務利用を考える上での良いユースケースになっていると思った。こういう事例が増えるとVUIの必要性、重要性が高まると思う。
7.みんなのおりがみ:最優秀賞(個人開発者)受賞作。折り図を見せずに音声だけで折り紙を折らせるというのは、シナリオに相当工夫があると思う。
8.美浜区の避難場所探してみよう:これも自治体(千葉市)のオープンデータを活用したスキル。区ごとにスキルが分かれているのは、個人情報を取得しなくても使える利便性を優先したのかな?
9.魚魚リンガル:水槽の水温、濁度などのセンサ情報を集約し、魚の声として音声で応答させるIoT系スキル。魚とおしゃべりしているような感覚になるのが、新しいユーザー体験を生み出しているなあと感じた。
10.スロットテスト:異色の「開発者向けスキル」。実際に実装し発話を確認する手間が省けるので、スキル設計時のスロット選択において役立ちそう。
11.ローカルライド:要はマッチングサービスなのだが、利用者が顔見知りだからこそ成立する作りになっていて、正直完成度よりもコンセプト(地域課題の解決)の勝利という感じ。ここから実際に使えるシステムになったら素敵だと思う。
12.居酒屋清子:ラジオパーソナリティの声というのは、VUIにおいて強力な武器になるということがよくわかった。ただそれだけでなく、利用頻度に応じて応対が変わるなど、スキルとしての作りこみもしっかりしていた。
13.いこーよのおでかけナビ:履歴を持っていて同じ場所をおすすめしない、寄り道スポットなどを合わせて提案するなど、子供との外出をサポートするスキルとして丁寧に作られている印象。自社サービスに直結したスキルならでは。
14.おえかきおねえさん:絵描き歌の答えの絵をスマホアプリに送れる機能があった…文字以外にも画像が表示できることを初めて知った。これは、自分のスキルにも実装したい。
15.緊急事態!助けて:SNSへの通知だけでなく、あらかじめ設定した電話番号に音声メッセージが入るのが良い。使われているtwilioさんのサービスは、他にも応用できて実用性も高そう。
16.テロ―コントローラー:小型ドローンを音声コントロールする、まさに「飛び道具」なスキル。インパクトは当日発表の中で一番。実用においては、通常の制御はリモコンでやって、緊急停止とかは音声でも指示できる、というハイブリッドなスタイルがよいかも。

「テロ―コントローラ―」ライブデモの様子。見事に成功。

17.テレビリモコン:質疑応答でも指摘されていたが、リモコンボタンをそのまま音声に置き換えただけでなく、便利な操作が音声ひとつでできたらとても便利そう。
18.こたえのないえかきうた:絵描き歌に答えがなくてもいい、その視点が素晴らしいし、新しい遊びを生み出していると感じた。パターンも無限大で、ときどき遊びたくなるスキルになりそう。
19.クイックちゃん:最優秀賞(法人開発者)受賞作。視覚障碍を持つマッサージ師さんが自律的な仕事をする手助けになり、コストメリットもあり、かつ音声であることが重要という、文句なしの最優秀賞。
20.おばあちゃんセンサー:ソニーMESHの人感センサーを活用した事例。これも解決する課題の定義が具体的でとても良いと感じた。
21.キャプテン九:ストーリーモードの音声が迫力満点で、プロの声優さんに依頼していると思われる。スキルにもそういう完成度を求められる段階にきているんだと感じた。
22.ぼく、わたし帰ったよ:子供が帰宅したことを音声で入力させる、というのは小さい子供には向いていると思う。IoTによるボタン、スマホやタブレットなど、他にも入力デバイスは色々あるわけで、音声を選択する必然性を考えることが大切、と感じた。
23.血圧手帳:グラフはGoogle Chart APIでリアルタイム生成とのこと。この手のソリューションは対応した一部機器との自動連動が中心なので、音声で記録するという簡単な手法のほうが普及しやすいはず。こういう視点も大事と思った。
24.YES NOライト:メーカーの人の「言えない用途をストレートに表現してくれてうれしい」みたいなコメントが全てと思う。アイデアってやはり大事

イベントを通じた気づき

ファイナリストに残ったスキルは、完成度の大小はあれど「課題」を定義し、それを「技術で解決する」という面がしっかりと見えているモノが多かった。コンテストを目指すには、単に「これこれができます」だけでダメということで、そこに気付けたのは大きかった。あと、今回のコンテストでは「音声である必然性」が重要視されていた。自分が作るものと、テーマとの整合性をすり合わせるのも大切かと思った。

そういう意味では、自分のスキルはやはり足りない部分が多くあり、会場に居てちょっと悔しい気持ちになった。次回があれば、また挑戦したい。

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